2017年1月25日水曜日

老いることは人生の深い味わいを楽しむことでもある。

斎藤 茂太(著作)「心が晴れる生き方」142P

 『老いることは人生の深い味わいを楽しむことでもある。

老いることは楽しみを増すことなのである。』
 


 

 「亀の甲より年の功」という格言があります。

 

最近、つくづくそう思うようになってきました。

 

 老いることは、確かに肉体的・精神的な衰えはあります。

 

しかし、誰かが「順繰り、順繰り」と言っていたように、今の老人は「未来の壮年の姿」、

今の壮年は「未来の若者の姿」なのです。

 

 そう思うと、今の老人は「人生の先輩」であり、よくもまあ頑張って生き抜いてこられたなあと、ある意味では尊敬の念すらいだきます。

 

 

 

 老いることは、深く人生の経験を積み、酸いも甘いも嗅ぎ分けられるようになり、世の中が良く見渡せるようになります。

 

 昔、若いときにはわからなかったことがわかるようになったり、ひょんなきっかけで、

できなかったことができるようになったりします。

 

 視野が広くなったというか、世の中を俯瞰的に見ることができるようになります。

 

世の中の出来事を、短視的でなく、広角的というかそんな風に見ることができるようになります。

 

 そのように、老いることは人生の何たるかがわかるようになってきて、人生の過ごし方・生き方が上手になり、人生の深い味わいが楽しめるようになるということだと思います。

 

 また、世の中の出来事に対して、深く理解できることが可能となり、それにより楽しみが増すことになるのだと思います。

 

 例えば、料理についても生まれ育ったところの「お袋の味」「郷土料理」もいいけれども、

都会に出てきてからの、全国的な料理・各地の料理も味わえるというのも、料理についての深い味わいを増したということになると思います。

 

 昔若いとき、日本経済新聞の「私の履歴書」(今も続いていますねえ)というコラムで、「・・・苦労を楽しむ・・・」という言葉が出てきて、私は「ああ、こういう心境になればいいのか」と思ったりしたものでした。

 

 だいたい、人生は苦労、苦労の連続ですからねえ。

 

 

 

 また、一般的に年を取ってくるに従って、人間の角がとれて丸くなってくると言われています。

 

 年を取るに従って、人間性が良くなり、人間が出来てくると思われます。

 

 年を取るに従って、舌が肥えてきて、食通になり、食べ物の深い味わいを楽しむことができるようになり、楽しみが増します。

 

 年を取るに従って、目が肥えてきて、眼力・人を見る目が養われ、相手の人格とか人間性の深い味わいを楽しむことができるようになり、楽しみが増します。

 

 また、年を取るに従って、物事の目利きができるようになります。

 

また、喧嘩ぱやかった人も、「柳に風」というように、しなやかにしたたかになるようです。

 

意地を張って、人とぶつかると、喧嘩をして、木のように折れますからね。

 

鞭のように、しなることを覚えると、人間関係もスムーズにいくようになります。

 

母がいつも言っていました。

 

「怒ったら負け」だと。

 

かくいう私も、人間関係にはいまだに苦労しています。

 

精進、精進。

 

 

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